東北大学病院 放射線治療科

患者様へ

MRIリニアック

一般的には高エネルギーのX線を照射する直線加速器(リニアック)という装置ががん治療を目的として普及しています。今回導入したMRIリニアックは、最新のリニアックと画像診断に用いるMRIが一体化している点です。MRIは被曝することなく鮮明に体内を描出できる装置です。しかし、MRIは常に磁場を発生しているため、これまでは磁性体の塊であるリニアックと一体化することができませんでした。特殊な技術によって1.5テスラという強い磁場を持つ高精度のMRIとその周りを回転する小型のリニアックが融合されています。オランダのユトレヒト大学が開発した装置で、導入されているのは世界的にも珍しい最新の装置です。当施設では動画も公開していますのでご参照ください。

MRIと放射線治療が一体化することで、①軟部組織の抽出能力し、正確な位置合わせができ、その場でその日の状態に合わせた治療計画を設計することが可能、②放射線照射中にリアルタイムのMRI画像で体内を描出でき、呼吸などによる腫瘍の動きに合わせた精度の高い照射が可能となるなど、多くのメリットがあります。強度変調放射線治療(IMRT)専用機でもあり、より正確にピンポイントで高い放射線量を照射することが可能となり、治療期間の短縮や治療効果の向上が期待されます。2022年2月に稼働しました。

様々ながん種に適応はありますが、東北大学病院では前立腺癌や腎臓がん、すい臓がんなどを対象に診療を開始しています。1回の治療時間は40-50分程度かかりますが、5回程度の治療期間が大幅に短縮した治療を実施しています。

診療費はすべて健康保険の適応ですが、照射方法により金額が異なりますので、担当医にお尋ねください。