東北大学病院 放射線治療科

患者様へ

舌・口腔癌密封小線源治療

当院では、限局し腫瘍の厚みが5mm程度の腫瘍(主に頭頚部癌ですが、体表からアプローチ可能な部位であれば可能です)に対し、Au198が密封された小さなシードといわれる線源を局所麻酔下で永久刺入する治療を行っています。この治療では刺入したシードの個数によりますが、3~7日程度の隔離が必要となります。そのためご自分一人で日常生活が送れる方しかこの治療を受けることはできません。日数とともに周囲に出す放射線の量が減衰することから、問題となるレベル以下に減衰したところで隔離病棟から退室となり、一般病棟あるいは退院となります。

この治療法は周囲への影響は少ないのですが、病巣の周囲に限局した炎症反応が刺入後5日目あたりから出てきます(放射線粘膜炎)。これは必ずと言ってよいほど出る副作用ですが、その後数週間で自然治癒します。まれに顎骨壊死を起こすことも報告されています。しかし、周囲への影響を最小限に抑えるべく当院の歯科部門に協力してもらい、埋め込んだシードから距離をとるためのスペーサーを作成してもらうことをしています。(写真参照)放射線の強さは距離の2乗に反比例することから距離をとることが重要なのです。

 

口唇癌の患者様 刺入直前で局所麻酔をした状態

 

CT上における線量分布図
青ラインが80Gy照射される範囲を示している 緑の丸や三角が小線源の位置。

 

マウスピース

 

永久刺入後3週間 病巣は縮小し、周囲(矢印)に粘膜炎がでています。

 

刺入後4か月後 腫瘍や粘膜炎も消失し自覚症状ありません。わずかに脹れぼったい。

 

刺入後4年経過 再発や目立った副作用もなく生活されています。