東北大学病院 放射線治療科

医学生・研修医の方へ

日常診療

当院の放射線治療は常時120名程度の症例に対して行っています。このような多くの症例を治療するには放射線治療医のみでは到底困難です。熟練した診療放射線技師と医学物理士、がん放射線療法看護 認定看護師を筆頭とした看護師チームとのチームワークにより高精度でかつ安全な診療を日々行うことができています。

業務内容

放射線治療医は毎朝の病棟回診から業務がスタートします。当科では、密封小線源治療や非密封放射線治療のための特殊病床も備えていますが、これらをふくめ32床を管理しています。主な疾患として食道癌や前立腺癌、上咽頭癌があります。回診後に指示出しや処置を行った後、放射線治療計画と照射中の患者様の診察に移ります。放射線治療計画は当科入院患者だけでなく、他科入院患者、外来患者も行うため、毎日6~8名程度行っています。また、この他、月曜日は毎週1例に対し、泌尿器科と合同で前立腺癌に対するI125密封小線源療法を行っています。金曜日には子宮がんに対するIr192RALSによる腔内照射を行っています。さらに甲状腺がんに対するI131による内照射療法も週2例ずつ行っています。この他、放射線治療医不足のため、南東北一帯の関連病院へ応援診療を行っています。
月・火・木曜日の夕刻には、移植再建内視鏡外科や脳神経外科、呼吸器内科、婦人科、耳鼻咽喉科とカンファレンスを行っております(図1)。


図1:カンファレンス風景

放射線治療計画

放射線治療医のメインの仕事といえます。放射線治療医は、各患者の疾患、病期、全身状態、社会生活面などをすべて考慮し、症例ごとに治療方針を練る。化学療法を併用するのか、特殊放射線治療を行うべきなのか、短期間治療を行うべきなのかなどです。
放射線治療計画は、まず患者体位を考え、固定具を使用する場合はこれを作成。治療と同じ姿勢にて治療計画用CTを撮像(図2)。そのCT画像を放射線治療計画装置(当院ではEclipse)に転送。CT上、肉眼的腫瘍をtargetとして囲い、その他に顕微鏡的浸潤範囲や所属リンパ節領域を囲い、それに治療中の呼吸や心拍動による位置のずれ、毎日のセットアップの際に生じるずれなどを考慮したマージンを設定します。その深さや周囲の正常組織の状態などから、どの方向から、どのエネルギーのX線(あるいは電子線)、どういう形状で照射するのがベストかを考えます。できあがった放射線治療計画を医学物理士と診療放射線技師が確認後(図3)に実際の放射線治療装置(リニアック)にデータ転送を行い、その2日後から放射線治療開始となります。
毎週月曜日に放射線治療医が集まり、前週に作成した放射線治療計画とその位置照合の確認を行い、修正すべき点は迅速に改善しています。


図2:治療計画CT撮像時の患者様(食道癌)
CT撮像後に基準となる線を体表に描きます。


図3:放射線治療計画室の風景
治療計画装置10台以上が並んでおり、複数の放射線治療医と医学物理士が同時進行で治療計画を行っています。