東北大学病院 放射線治療科

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去勢抵抗性前立腺がん骨転移治療薬

去勢抵抗性前立腺がん骨転移に対するラジウム-233(ゾーフィゴ)療法

前立腺癌骨転移が起こった場合にまず考慮されるのはホルモン療法となります。ホルモン療法は有効性が高く、遠隔転移を有する前立腺がんの第一選択の治療法として広く行われていますが、ホルモン療法を続けるうちに効果がなくなり、再び病状が悪化することがあります。この状態が「去勢抵抗性前立腺がん」です。

このラジウム-223には、骨の成分であるカルシウムと同じように骨に集まりやすい性質があり、注射で体内に送られると、代謝が活発になっているがんの骨転移巣に多く運ばれます。そして、そこから放出されるアルファ線が、骨に転移したがん細胞の増殖を抑えます。そのため、前立腺そのものやリンパ節転移や肺転移には効果が見込めません。

こうした作用によって、骨転移した去勢抵抗性前立腺がんに対して治療効果が期待できるお薬が、ラジウム-223(商品名:ゾーフィゴ)静注です。場所や疼痛の状態によっては即効性や骨折予防が期待できる体外照射を行う場合もあります。

ラジウム-223から発生するアルファ線は高LET線と言われる生物学的に高い効果を示す放射線の一種です。更に、力が届く距離は0.1ミリ未満(体内)と短いことから、正常細胞に影響を及ぼすことは比較的少ないとされています。

ラジウム-233静注は、4週間ごとに1回、外来で静脈注射します。副作用を確認の上、投与日を決定します。やむを得ず数回で終了することもあります。最大6回の注射を受けたら、ラジウム-233静注による治療は終了です。その後は紹介元で経過観察していただきます。

本治療を希望される患者様は、主治医の泌尿器科医師より当科へ紹介してもらってください。特殊な薬剤であるため、適応を確認してから発注します。そのため初診日にいきなり投与できるものではありませんので、ご了承ください。

(参考:バイエル薬品HP)