東北大学病院 放射線治療科

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強度変調放射線治療(IMRT)

強度変調放射線治療

強度変調放射線治療(IMRT)とは、放射線治療計画用のコンピューターを用いて、あらかじめ臓器あるいはtarget毎に放射線の上限下限などを設定し、その優先度からコンピューターに逆算させて(インバースプラン)、照射野の形状を変化させたビームを複数用いて、腫瘍の形に適し、かつ危険臓器の被曝を抑えるように、放射線治療を行う照射方法です(図1)。腫瘍に放射線を集中し、周囲の正常組織への照射を減らすことができるため、副作用を増加させることなく、より強い放射線を腫瘍に照射することが可能になります。


図1:強度変調放射線治療による線量分布図

※IMRTではマルチリーフ・コリメータを照射中に動かすことで、放射線の強弱をひとつの照射野の中でもつけています。
これを数方向から照射し、より理想に近い線量分布図を作成します。

現在は保険適応となった治療法ですが、治療計画に時間とマンパワーを要します。そのため全患者に行うことはできず、疾患を限って使用しています。 その疾患とは前立腺癌、上咽頭癌、頸部食道癌、肛門管癌と子宮頸癌(図2~4)です。しかし、全患者さんの約50%程度に使用しており、国立大学病院としては最も多くの経験数を誇っています。


図2:前立腺癌における線量分布図

※当施設では前立腺背側に位置する直腸の放射線被曝量を落とすだけでなく、前立腺内部を走行する尿道の線量を5%だけ減量しています。


図3:上咽頭癌の線量分布図

※耳下腺や脳幹・脊髄の線量を抑えつつ、腫瘍へはしっかりと高線量を照射することが可能です。


図4:子宮頸癌術後照射の線量分布図

※骨盤内部の腸管の線量が軽減されています。