東北大学病院 放射線診断科

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職・住・食

 仕事と生活・家事の両立は、誰もが実践していることですが、それぞれにかける時間は千差万別です。個人の持ち時間は決まっているので、あとはどの様にムダな時間を省いていくかということが効率的な両立に重要なのではないでしょうか。大切なのは、何もしていない=ムダな時間ではなく、重要度の低いコトに費やす時間がムダ時間に相当するという考え方ではないかと思います。一方で、仕事と生活のバランスの取り方は個人や家族によって多様です。実際に医局員は様々なスタイルを実践しています。
 例えば、私は妻と娘の家族3人で暮らしており、妻も同じく大学病院に医師として勤務しています。すると、私たちが考えるムダ時間の一つに通勤時間が挙げられます。二人とも時間外呼び出しがあるので、職場へのアクセスが良好なところに住んでいます。もちろん、職も住も選択が思い通りに行かないことがありますし、なかなか変えることは難しいですが、ある程度の時間幅をもった計画は可能かと思います。東日本大震災から10年が経過しましたが、何か大きなことが起きたときに、家族が手を伸ばせば届くところにいるのは利点だったと思っています.
 近所にほどほどの規模のスーパーがあればなおよし。大型スーパーでは買い物に時間がかかってしまう(=ムダ)ので、適度にコンパクトであることが望ましいです。売り場の場所も覚えるので、目的のところしか寄らずに済ませることができます。多くの場合は10分とかからず買い物は済ませられるでしょう。忙しい朝の時間は、夫婦で朝食と昼弁当作りを分担します。すると、お互いに食材の減り具合は把握していることになるので、足りないものは帰宅時に補充します。まれに情報共有が抜けて、夫婦で同じ食材を買って帰るトラブルはありますが、概ねどちらかが適当に揃えることで成り立っています。ちょっといいものは、週末に趣味のランニング、あるいはサイクリングを兼ねて、街中や郊外の目当ての店まで買い物へ。適度にカロリーを消費してから、美味しいご飯を楽しむことができます。近所の馴染みのワインやさんで、おすすめを入手して、家飲み乾杯!

3種の神器+α

 食洗機・洗濯乾燥機・ロボット掃除機は、共働きの3種の神器です。性能も向上していて静音性が高く、夜間の使用も許容できるようになってきているので、投資価値があります。食洗機・洗濯乾燥機は、特に夜間に使うことで電力の有効活用ができます。たまに、ル◯バが目につかないところでスタックしていると、探す手間ができますが...+αは生ゴミ処理機です。マンション暮らしではバイオ式は難しく乾燥式になりますが、夜間に動かせばSDGsとしては許容されるでしょう。そして、なんといっても生ゴミの匂いがない快適なキッチンと家庭ごみ減量がメリットです。乾燥生ゴミは、農家へ配布されるエコシステムを仙台市が実施しているので活用しています。

Google as a pivot

 個人用のGoogle アカウントを長年使用していますが、2019年に大学アカウントのプラットフォームとしてGoogle Workspaceが導入されたのが、職場だけでなく家庭でもデジタル管理の pivotになったと思います。仕事とプライベートのアカウント切り分けが簡便でありながら、なおかつシームレスに活用できるのは、ムダ減らしの効果として絶大です。Gmailをベースとした業務と日々のスケジュール管理、家族の予定把握、職場間・家族間チャット、Scriptを使ったボット、文書作成、Reference manager (Google document + Zotero)、Form、Groupの活用など,枚挙にいとまがありません。

 仕事の話も少し。放射線診断科の業務は画像診断とIVRが中心ですが、その他にも外来・入院管理、他診療科との診療カンファなどの様々な業務があります。画像診断といっても読影だけではなく、診療科からのコンサルト対応、病態に応じた適切な撮像プロトコールの決定、画質管理や、そもそも画像検査が患者さんにとって適切であるかの判断といった多様な業務が含まれます。これらの業務は、医局員がそれぞれ分担して行います。また、最近は放射線科・放射線部で診療放射線技師・看護師とともにチームを形成し、業務のムダ減らしプロジェクトを実践しています。人の動きや業務プロセスなどに見られるムダを減らしていくことで、医療の質を落とさずに働き方改革にも貢献し、医療スタッフの時間外労働削減も進んできました。PDCAサイクルは回りだすと良い方向に向かうようで、スタッフの業務満足度も向上しています。個人的には、このような業務や他科・他部門との話し合いなどにウェイトを置きながら、適度の読影・IVRを行っています。もちろん、このような仕事を行えるのは、大黒柱の教授と頼りになる先輩、そして頼もしい後輩達とともに恵まれた環境を構築できているためだと思います。
 放射線診断医のライフワークバランスの一例を紹介しました。冒頭に書いたように、個人が使える時間は決まっていますが、それをどの様に使っていくかは、その人に大きく依存します。特に、職・住の考え方には多様性があり、個人あるいは家族で考えていくべきものですし、心身の自己管理についても多様です。私たちの医局ではそれぞれの事情を可能な限り配慮しています。

 放射線科医としての仕事は、他の診療科と同様に、日々の経験と勉強の積み重ねで成り立っていきます。そして、個人の能力とチームワークの両方が有機的に機能することで、質の高い医療を提供することができ、研究も進んでいきます。一方で、放射線診断科は平時の業務時間中と業務時間外でのオン・オフが比較的はっきりと分かれている診療科です。表裏一体のライフとワークを十分に謳歌できるのは、私たちの職種の素晴らしい特徴の一つでしょう。興味をもたれた方、一緒に働いてみませんか。

放射線診断科 大田英揮
国際学会出張中の移動手段として。

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