東北大学病院 放射線診断科

HOME > 患者様へ > MRI検査

MRI検査

MRIとは

 MRIとは磁気共鳴画像診断法(magnetic resonance imaging)のことです。MRIでは強力な磁石と電波を用いて、人体のあらゆる部位の断層画像(輪切り、縦切りなどの断面像)を撮影することができます。全身どこでも撮影できますが、特に、脳、脊髄・脊椎、関節、子宮や前立腺などの病気の診断に有用です。CTなどと異なり、X線被ばくはありません。

  • 脊椎

  • 骨盤部

MRIでは、通常の断層画像だけでなく、以下のような特殊な撮影法もあります。

a) MRA(Magnetic resonance angiography, MR血管撮影)
 MRIで血管の画像を撮影する方法です。造影剤を使用せずに血管の画像を得ることができます(血管の部位によっては、造影剤を使用しないと十分に描出できないこともあります)。この方法で、血管の狭窄・閉塞(細くなったり、詰まったりしている所)、動脈瘤(血管のコブ)、血管奇形などを検索できます。
<図1>
脳のMRA(下から見たところ)。
右中大脳動脈に動脈瘤を認める(白矢印)。脳底動脈先端部にも小さな動脈瘤を認める(黄色矢印)。
b) 拡散強調像
 拡散強調像は体内の水分子の拡散を強調した画像で、脳梗塞の診断で特に威力を発揮します。通常のMRIでは検出困難な超急性期の脳梗塞病変もはっきりと描出されるため、早期に診断して治療を開始することができます。また、腫瘍の診断にも利用されています。

<図2>
超急性期の脳梗塞症例。
通常のMRIのT2強調像(A)ではほとんど異常を指摘できないが、拡散強調像(B)では左大脳半球に高信号(白い)病変(黄色矢印)が認められる。同時期のMRA(C)では左中大脳動脈の描出が途絶し(黄色矢印)、閉塞していると考えられる。
c) MRCP(Magnetic resonance cholangiopancreatography, MR胆管膵管撮影)
 水の信号を強調することで胆管、胆嚢、膵管を描出する方法です。胆石症、胆管結石症や胆管がん、膵臓がんなどで、胆管が細くなったり詰まったりした場合、その部位や病変の進展範囲などを見るために用いられます。同じ原理を用いてMR urography(MR尿路撮影)やMR myelography(MR脊髄撮影)も撮影されます。

MRI検査を受けられる患者様へ

 MRIでは放射線被ばくの心配はありませんが、磁石や電波を用いているので、心臓ペースメーカーや人工内耳などのある方は検査を受けることができません。その他、脳動脈瘤クリップなど体内に金属製のものがある場合も危険なことがあり、検査前にチェックする必要があります。最近開発されたMRI対応のペースメーカーであれば条件によってMRI検査可能な場合があります。
 検査部位にコイルを装着して撮影を行います。撮影中は狭いトンネル状の装置の中に入りますので、閉所恐怖症の方は検査が難しいことがあります。また、撮影中は工事現場にいるような大きな音がするという欠点がありますが、遮音性のあるヘッドホンを装着することにより騒音の低減を図っています。検査時はブザーを手に持っていただきます。具合が悪くなった際にはこれを鳴らしてお知らせください。撮影時間は多くは30分程度です(検査の目的によりこれと前後する場合もあります)。
  • 検査部位にコイルを装着します(お腹の上にのっている白い器具がコイルです)

  • トンネル状の装置の中に入って撮像します

造影剤について

 検査の目的によって、造影剤という薬剤を使用して撮影することがあります。造影剤の使用により腫瘍のより詳細な評価が可能になります。また、造影剤を使用しないMRAでは十分に描出できない複雑な血流や、血行動態を評価したい場合にも使用されます。
 造影剤の投与によって、時に副作用が生じることがあります。吐き気、嘔吐、発疹が多く、通常は軽く自然に治まります。しかし、まれに血圧が低下して ショック状態になったり、呼吸困難が生じたりすることがあります。こうした副作用は予測不可能ですが、喘息などのアレルギーの既往のある方に多い傾向が知られています。造影剤を使った検査を行うときには、詳しく説明して、ご同意をいただきますが、アレルギーのある方や以前に造影剤で具合の悪くなったことのある方は申し出て下さい。

MR装置

<< 前のページに戻る