東北大学病院 放射線診断科

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留学

ヒューストンのテキサス大学MD Anderson Cancer CenterのDepartment of Experimental Radiation OncologyにVisiting Scientistとして留学中です。

小藤昌志(放射線治療科)


2005年1月より、ヒューストンのテキサス大学MD Anderson Cancer CenterのDepartment of Experimental Radiation OncologyにVisiting Scientistとして留学中です。

ヒューストンはアメリカ中部の南端に位置し、アメリカ第4の人口を持つ都市です。大都市なのですが、無秩序に拡大したため、都会らしさはなく、偉大な田舎と言われているようです。気候的には亜熱帯となるため、高温多湿でお世辞にも過ごしやすいと言える環境ではありませんが、慣れとは恐ろしいもので最近はさほど気にならなくなりました。人種は多様で、半数はメキシコ人でアジア人もよく見かけます。特にMD Anderson Cancer Center内はアジアからの留学生が多く、カンファレンスなどはランチ目当てに8-9割はアジア系で占められます。あまりアメリカといった感じがしませんが、それがアメリカという国かもしれません。

MD Anderson Cancer Centerはベイラー大学医学部や大規模な総合病院が集まったメディカルセンターという、医療施設複合体の一角にあります。がんセンターとしては毎年ニューヨークのMemorial Sloan-Kattering Cancer Centerと首位を争う世界でも有数のがんセンターです。残念ながら2005年は2位に甘んじたようです。臨床もさることながら、ここの特徴は臨床と研究分野が密な関係を保っていることで、研究内容も臨床に近い内容のものが多数あります。放射線治療もRadiation Oncologyの下にClinicalとExperimentalがある形をとっており、共通のChairmanがいます。

私のこちらの仕事は、基礎研究です。日本では全く研究の経験がなかったので、不安でしたが、私の所属するMilasラボは基礎と臨牀の中間的な仕事が多い影響もあって、比較的抵抗なく仕事に入ることができました。Milasラボの特徴は自前でマウスの繁殖を行い実験ができることで、そのためマウスを使った大規模な実験が多数行われています。マウスの実験が始まると一日中マウスと顔を合わせている日が続くので、前任者の有賀先生はマウスと話せるようになったと聞きました。私はまだ鍛錬が足りないようで、表情から言いたいことを推測するにとどまっています。最近はvitroの実験もさせてもらえるようになり、少々多忙な日もありますが、日本と比べるとだいぶのんびりとした日々を送らせていただいています。

ヒューストン近郊は地図を見ると分かるのですが、何もありません。山もないのでどこまでいっても地平線を見ることが可能です。観光地は行くとがっかりするNASAと着くまで3時間半のアラモの砦くらいなものでしょうか。邪念に惑わされることなく、実験生活が送れそうです。

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