東北大学病院 放射線治療科

教室紹介

神宮啓一教授よりご挨拶


教授 神宮啓一

放射線腫瘍学分野教授の神宮よりご挨拶申し上げます。

当分野では悪性腫瘍の放射線治療を中心に診療・研究を行っております。定位放射線治療や強度変調放射線治療など先進的な治療を本邦では先んじて始めており、多くの経験を有し、これまでに国際雑誌で治療成績の報告などを行っており、日本の放射線治療を先導する立場にあります。この他、再発癌に対する放射線治療成績や放射線治療における機能画像の有効性などを中心に研究しております。東北大学では昔からサイクロトン・アイソトープセンターがあり、PETの開発・発展に寄与してきた伝統ある研究機関でしたので、それを活かした研究を行っています。すべてを刷新するのではなく、過去の経験・成績を鑑みたより効率的で安全な治療方針を常に心がけています。

放射線治療は、2000年以降急速な機械の進歩により発展してきています。しかし、まだそれを扱う放射線治療医・医学物理士の不足が常に問題となっています。東北大学では、前任の山田教授達の尽力により、他大学に比べ大所帯ではありますが、南東北一帯の放射線治療施設を担っており、マンパワー不足が否めません。そのため、本来は常勤の放射線治療医を置くべきような地域医療拠点病院にも非常勤で週1~2日だけ大学から応援に行くことしかできない状況にあります。しかし、裏を返せば、若者が活躍する場が多くある将来の明るい医局と言えます。

また近年、放射線治療医をサポートしてくれる医学物理士が認知されてきていますが、一般の病院にはまだまだ受け入れられているとは言い難い状況です。当科では、保健学科との協力の下、医学物理士を目指す方のための医学物理士コースがあり、現在既に多数の若者が勉強しています。今後、医学物理士の活躍の場も東北地域全体に広げていくことも使命のひとつと考えています。

東北大学では、福島医大と山形大学、新潟大学と連携し、文部科学省よりがんプロフェッショナル養成推進プランが採択されており、将来のがん治療を担う医療従事者を養育するための助成を受け、大学を挙げて取り組んでいます。この10年の仕事は医局員を増やし、もっと活力のある世界に情報を発信する医局にしていくようにしていきたいと思っています。