東北大学病院 放射線治療科

研究活動について

留学報告

スタンフォード大学留学記

神宮 啓一

2012年1月~

2012年1月よりたった2か月強ですが、アメリカ合衆国のスタンフォード大学のcancer centerに短期の留学をしました。今回は応募した「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」にあたったことから、渡航費や滞在費が補助され、かつ大変な円高の時期に行きましたので、大変経済的には助かりました。

スタンフォード大学は、サンフランシスコから電車で1時間ほど南に下ったところにあります。とても広大な敷地をもっており、とても美しいキャンパスで(写真参照)、なんとキャンパス内にゴルフコースまでありました。たった2か月のために車を買うわけにもいかず、長期のレンタルサイクルがあったので、2か月200$でレンタルしました。毎日30分くらいかけて自転車通勤をしました。晴れた暖かい気候だったので、なかなか快適な通勤でした。

 

最初は短期なので臨床の見学だけを希望していたのですが、さすが大学ランキング世界2位のスタンフォード大学で、そんなことは許してもらえませんでした。事前に希望する研究内容を提出し、これならばよしということで、留学を受け入れてもらいました。スタンフォード大学は定位放射線治療装置のサイバーナイフを開発した大学であり、かなり以前から体幹部の定位放射線治療が行われてきています。その患者たちは、次世代PETと言われる4D FDG-PETが施行されております。現在の世界的な論調としては、早期肺がんの定位放射線治療ではFDG-PETによるSUVmaxが予後に寄与しないという方向に向いていましたが、SUVmaxが呼吸性移動距離により種々の程度の減弱を示すことから、呼吸性移動によるアーチファクトを補正した値での検討が必要であろうと考えておりました。そこでスタンフォード大学の過去の4D PETによるSUVmaxを算出し、これと予後との関連を調査しました。しかし、短期しか滞在できず、予後との調査まではとても解析できないことから、それは後身に任せることにして、今回は3D-PETによるSUVmaxと4D-PETによるSUVmaxの関係性や、吸収補正用のCTをhelical CTで行った場合と、4D-CTで行った場合との相違などを検討しました。結果は今年のRSNA(北米放射線学会)にアブストラクトとして提出しました。アクセプトされることを祈っています。

最後になりましたが、普段大変忙しい診療の中、小生のわがままで留学させてくれた放射線治療科のスタッフのみなさんに感謝しています。