東北大学病院 放射線治療科

研究活動について

学会参加録 2018年

ASTRO2018報告記

山本 貴也

2018年10月21日~24日

2018年10月21日~24日にかけて米国テキサス州のサン・アントニオにて開催された第60回 ASTRO annual meetingに参加、口演発表をして参りました。

今回平成27・28年度日本放射線腫瘍学会研究課題「肺oligometastases への定位放射線治療症例の調査研究」に研究事務局として携わらせて頂き、昨年研究代表者の東邦大学の新部譲先生がASTRO2017やJASTRO2017にてプライマリエンドポイント(oligo-recurrenceを中心とした生存解析)の発表を行いました。そして幸運にもセカンダリエンドポイントとして肺oligometastasesに対する局所制御の解析結果を今回口演発表させて頂く機会を得ました。

発表はmeeting初日午後のセッションでしたが、放射線治療医にとって世界最大の学術集会であり既に多くの参加者が出席しておりました。これまでASTROではポスター発表しか行ったことがなく、初の講演発表ということでかなり緊張しました。同じセッションでJCOG0403の長期成績の発表があり、ご高名な先生方はもっと大きな会場でやらせろーと冗談を飛ばし合っているのを横目に、私はひたすら原稿の下読みをしていました…(緊張のピークです)。セッション会場のレイアウトはちょっと微妙でしたが、会場はかなり多くの参加者が来ておりました。

口演発表前の昼食の様子。これにスープまでついて2人分(約35ドル)、景気付けに頼みすぎました…お蔭で発表前にお腹の調子がイマイチになることに。


発表の様子(スライドが上手くでなくて焦っています)。

発表では、肺oligometastasesに対する定位放射線治療による局所制御に関わる因子について、また局所制御することでの生存への寄与についてプレゼン致しました。私の拙い発表にも関わらず、質疑応答ではフロアからも質問やコメントを頂き嬉しく思いました。

講演発表終了後、ほっと一息ついたところで、神宮教授、オランダ留学中の高橋先生と共に記念撮影をしました。当科からは高橋先生、梅澤先生、角谷先生が発表致しました(高橋先生は2演題出しました)。今回の経験を糧に益々の臨床・研究に邁進して行きたいと思います。

最後に、今回このような機会を与えてくださった新部先生、多方面からご指導・ご助言頂きました共同研究者の先生方、本研究に快くご協力・症例登録頂きました日本国内の多くのご施設・先生方(68ものご施設、先生方よりご協力を頂きました)にこの場を借りて心より御礼申し上げます。

また学会出張中に外来・病棟をがんばって頂いた医局員の先生方、東北医科薬科大学病院や宮城県立がんセンターの先生方にも当院の診療をお手伝い頂きました、どうもありがとうございました。

本学会の出席・渡航費に関しましては公益財団法人ライフサイエンス振興財団の国際交流(研究集会)援助による助成を頂きました。

 

World Federation of Nuclear Medicine & Biology(WFNMB)2018 参加録

助教 武田 一也

2018年04月20日~24日

2018年4月20日から24日まで、オーストラリアのメルボルンで開催された世界核医学会(WFNMB 2018)に参加してきました。この学会は1974年に東京・京都で第1回の大会が行われて以来4年に1度会場を世界各地に移しながら開催されているもので、今回で12回目を迎えます。

本学会には世界各地からのポスター演題が提出されており、私もその中で” Clinical utility of run-length matrix parameters in radiomics analysis of 18F-FDG PET/CT image in patients with stage I non-small cell lung cancer treated with stereotactic body radiotherapy.”という演題でポスター発表を行いました。これは体幹部定位放射線治療を行った早期肺癌症例において、PET/CT検査の画像解析(テクスチャ解析)の有用性を検討したものです。まだこのようなテクスチャ解析に関する報告は少なく、学会の閉会式では、画像の定量解析に関する新しい方向性として本研究をご紹介いただきました。今後は本学会で得られた知見や研究の趨勢を踏まえ、臨床応用に向け研究を進めていきたいと考えております。

口演のセッションはテーマごとに外科医や核医学者など各方面の第1線の演者の先生が最近のトピックについて講演するという内容で、特にPET画像の放射線治療計画への応用などのテーマが勉強になりました。4年後の2022年の次回WFNMBは里帰りして京都での開催となりますので、こちらにも放射線治療と核医学の融合領域での演題を提出できるよう精進して参りたいと思います。

また、腫瘍学関連のセッションが無い時間帯は市内観光も楽しむことができました。メルボルンはオーストラリア第二の大都市である一方ヨーロッパ風の古い景観も残る街で、路面電車の車窓に流れる新旧入り混じった街並みが印象的でした。最終日の午前にはメルボルン動物園(世界で3番目に古い歴史ある動物園だそうです)を訪問しましたが、カンガルーもコアラも爆睡していて微動だにしていなかったので、夕方の訪問がお薦めかもしれません。

最後に、本研究につきご指導を賜りました放射線診断科の高浪先生、当科神宮先生をはじめ、今回の研究や渡航においてご指導・ご協力いただきました関係各位に御礼申し上げます。ありがとうございました。


学会場:川沿いのすごくきれいな景観でした