東北大学病院 放射線治療科

研究活動について

学会参加録 2012年

日本放射線腫瘍学会第25回学術大会

放射線腫瘍学分野修士1年 曹 翔永

2012年11月23日~25日

2012年11月23日‐25日、東京国際フォーラムにて開催された日本放射線腫瘍学会第25回学術大会に参加致しましたのでご報告させて頂きます。
JASTROへの参加は初めてでした。それゆえ口演発表351、ポスター発表241、という規模の大きさにとても驚かされました。またこれらに加えて行われるシンポジウムや教育講演では、基本かつ重要な背景知識から、普段は学びきれない幅広い範囲の知識まで、多くを習得できる講演ばかりでしたので3日間可能な限り聴講して参りました。特に教育講演ではスライド抄録が配布されましたので、出席できなかった講演の分まで勉強させていただきました。
2日目の夕方、「技術開発」セッションにて自身の発表があり、大きな会場でしたが以前ほどの緊張はなく練習通り終えることが出来ました。時間たっぷりを使っての質疑応答におきましても、それぞれの質問に対し落ち着いて答えられたかと思います。今回の発表または学会全体を通じて、先生方など質問者の考え方や疑問を持つポイント、発表者の適切な回答の仕方などを学ぶことができ、参加経験の少ない私にとってたいへん勉強になりました。また自らの研究と異なる領域の口演を見学することで、新たな知識が数多く得られ、今後の研究に対するヒントも得ることができましたのでとても有意義な学会となりました。
最後になりますが、本学会への参加、発表にいたるまでご指導・ご協力くださいました先生方、この場をお借りして深く御礼申し上げます。

 

第127回日本医学放射線学会 北日本地方会

放射線腫瘍学分野修士1年 新井 一弘

2012年11月16日~17日

2012年11月16日~17日に東北大学医学部艮陵会館で行われました、第127回日本医学放射線学会北日本地方会・第72回日本核医学会北日本地方会に参加しましたのでご報告させていただきます。
艮陵会館内の2会場で、診断、核、治療の各分野で口演が行われ、活発な議論が行われました。
私は医学物理士養成コースの学生であるため治療デビューセッションで、「Deformable image registrationを用いた頭頸部IMRTの積算線量の評価」と題し、頭頸部IMRTにおける治療期間中のリスク臓器の位置や体積変化を考慮した積算線量評価の方法を発表させていただきました。広い会場で緊張しましたがデビューセッションということもあり、とても和やかな雰囲気で発表を終えることができました。
また、先生方の口演に加えて、ランチョンセミナーやシンポジウムなど、物理士コースの私にとっても大変興味深いものであり、勉強になりました。
最後に、研究を進めるにあたり、多くのご指導をしてくださいました神宮先生と、このような学会での発表の機会を与えてくださいました東北大学放射線治療科の皆様に心より感謝申し上げます。

 
懇親会での様子   加齢研の福田教授が、
今回当番世話人を務めらました
   
東北大より今回デビュー
セッションに出られた先生方
   

 

第2回東北放射線医療技術大会

放射線腫瘍学分野修士1年 曹 翔永

2012年11月03日~04日

平成24年11月3日から4日にかけて仙台AERにて開催された第2回東北放射線医療技術学術大会に参加しましたのでご報告いたします。

初日、2日目とも診断・治療に関わらず多岐の分野に渡る発表がたくさん行われ、どの会場でも活発な質疑応答や討論が行われました。普段は馴染みの少ない分野の知識も深めることができ、非常に有意義な時間となりました。私の発表は、同じく放射線腫瘍学分野所属の勝田、小野里、新井と、顔なじみのメンバーに続く順番でした。そして聴衆の中には普段からお世話になっている当院の放射線技師の方々も見えておりましたので適度な緊張の中、落ち着いて発表を行うことができました。

今回私は、「4DCT画像から作成する肺機能イメージングの技術開発」と言う題で発表しました。今までは肺機能イメージングを取得するためには、核医学検査など他の検査が必要でしたが、この研究では、治療計画で使用する4D-CT画像のみから肺機能イメージングを作成することを目標として、4DCTの呼気画像を、吸気画像に一致するよう画像変形(Deformable image registration)し、そのCT値の変化量を定量解析することで肺機能イメージングを作成できるか検討しました。この研究が実現出来れば、追加の検査が必要なく肺機能を考慮した治療計画が容易に作成することが可能となります。質疑応答では座長の先生より様々な質問コメントを頂くことが出来、とても勉強になりました。自分の知りたいことを研究するのはもちろんですが、人に評価される研究、人に刺激を与えることの出来る研究を行っていきたいと強く感じました。また、他の会場では学部生時代の同級生である院生、技師や後輩の学部生も数名発表をしておりましたので、一層良い刺激を得る事も出来ました。

講演以外の場では、臨床現場の第一線でご活躍されている医学物理士・放射線技師の方と、互いの研究に対する意見交換の時間を頂きました。自分の研究に興味を持たれた方々からの助言を活かし、今後の研究にもより一層励んでいきたいと思いました。

最後になりましたが、このような学会発表の機会を与えてくださいました東北大学病院放射線治療科の皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 
   

 

第104回日本医学物理学会学術大会

放射線腫瘍学分野修士1年 小笠原 誠

2012年09月13日~15日

第104回日本医学物理学会学術大会が2012年9月13日から15日まで茨城県つくば市(つくば国際会議場)にて開催されました。

今回の学会は医学物理士の角谷先生、修士2年の勝田さん、同期の新井、曹とともに参加させていただきました。つくばは残暑厳しく、また晴天に恵まれたため、非常に暑い中での学会でした。

今大会では、一日目に講習会、二日目、三日目に口頭発表や講演、ポスター展示という日程でした。私は二日目に、「呼吸性移動によるSUVの減弱補正法の検討」という題で口頭発表いたしました。私の研究は、通常のPET検査における腫瘍のSUV値は、呼吸同期撮影など呼吸管理を行っていない状態では呼吸性移動によりSUV値が減少します。そこで、我々は、その呼吸性移動により減弱したSUV値を補正する方法を考案し、発表しました。今後は、この補正法を臨床においても利用できればと思っております。

医学物理の学会はやはり治療関係の発表が多く、私が発表した「核医学/画像情報」セッションは他と比べ聴衆がまばらでしたが、初めての学会発表でしたので大変緊張いたしました。なんとか無事に発表を終えることができ、ほっとしております。今後よりよい発表ができるよう精進してまいりたいと思います。

今回参加させていただいて、粒子線治療などのさまざまなセッションや教育講演などを聴講することができ、大変勉強になりました。また、日本の医学物理の第一線でご活躍されている先生方と交流できたことは、今後研究をおこなっていく上でのとてもよい刺激となりました。

最後に、研究をご指導くださいました先生方、ならびにこのような機会を与えてくださった放射線治療科の皆様に深く感謝申し上げます。

 
つくば国際会議場   会場入り口にて
   
メイン会場の様子    

 

Elekta Software トレーニングコース「Monaco 操作初級コース」

大学院生 山本 貴也

2012年08月25日~26日

東京のエレクタオフィス内で定期的に開催されているXio中心のトレーニングコースのうち、平成24年8月25~26日にかけて行われた「Monaco 操作初級コース」に参加しましたのでご報告します。

当院ではElekta社のMonacoはあるものの、放射線治療計画には専らVarian社のEclipseを使用しており、Monacoは全く使われる機会がありませんでした。しかしMonacoがVer3.20にアップデートするのに伴いIMRT(強度変調放射線治療)に積極的に利用していこうという動きになっています。Monacoでは計算アルゴリズムにMonte Carlo法が使われているので、現在のAAAで計算されるEclipseより不均質領域の計算がより現実に近づきます(Acurosはお高いため導入されていません)。

実際に体験してみると、contouringに関しては同じElekta社のXioよりもかなり使いやすい印象を持ちました。個人的にはPaintbrushがpixel valueによってふにゃっとなってくれる所、しかもそのSensitivityも設定できるところがとても気に入りました。他にもreshape contourでreshapeしたい範囲を円の大きさで調節できたり、AutoでもAuto segmentationやAuto thresholdだけでなくEZ sketchなるものもあったりとかなり使い勝手の良さそうな印象でした。またIMRTでの線量制約も、例えばリスク臓器であればParallelとSerialという2種類の制約の付け方があり組み合わせることができ、更にPTVからのShrinkマージンを用いてリスク臓器にきつ目の制約をかけるなど、とても細かく出来るので慣れればやりやすそうな印象でした。

個人的に感じた欠点としては、中をくり抜かれたドーナッツ型のcontourを認めていない点(頭頸部や頚部食道などPTV内に気管等といったair densityがある場合に設定が必要、直腸壁を評価したい時なども手間がかかる)、色々細かく設定できるのが利点である反面、計画途中でエラー出した時のdebugが大変そう、Ver3.20用のマニュアルがまだ英語だった(単位時間で得られる情報量が違うので)、辺りでした。

早く実地臨床に還元できるように勉強していきたいと思います。

 
トレーニングセンターの様子   お昼ごはん

 

平成24年度第1回東北大学医学物理セミナー

助教 角谷 倫之

2012年08月18日

今回、東北がんプロフェッショナル養成推進プランが主催となり、東北大学医学物理セミナーを8月18日(土)に開催致しました。東北大学が主催します大規模な医学物理に関するセミナーは初めてでしたが、全国から160名近い方が参加して頂きました。今回は、医学物理士、放射線技師のみならず、医師や看護師などすべての放射線治療関係者が理解しておけば臨床で役に立つような内容に致しました。その結果、医師、看護師も多く参加して頂き、非常に嬉しく思っております。今回のセミナーでは、放射線治療に必要な物理や陽子線治療、強度変調放射線治療など基礎的な内容から最新の放射線治療まで第一線で活躍されております医学物理士の先生方をお呼びして講演して頂きました。


会場の様子

このようなセミナーを今後も企画し、東北地方の放射線治療の発展に微力ながら東北大学が貢献できればと思っております。この度は、このセミナーの開催に伴い、当科教授の神宮先生、保健学科准教授武田先生をはじめ協力して頂きました東北大学病院放射線治療科、診療技術部のスタッフには心から感謝致します。

 
神奈川県立がんセンター
黒岡将彦先生
  国立がん研究センター
中央病院 岡本裕之先生
 
千葉がんセンター
遠山尚紀先生
  埼玉医科大学
熊崎祐先生
 
京都大学
中村光宏先生
  南東北がん陽子線治療
センター 加藤貴弘先生


弘前大学 成田雄一郎先生


懇親会の集合写真

 

第1回スペーサー治療研究会参加録

教授 神宮 啓一

2012年08月11日

平成24年8月11日に神戸大学医学部にて第1回スペーサー治療研究会が実施されました。これは神戸大学の肝胆膵外科の先生と放射線科の先生、また粒子線治療関連の施設の先生が中心となって立ち上げられた研究会です。スペーサーとは腫瘍組織と正常組織の間に差し込むものを全般にいい、かつては(現在も)舌などの小線源治療による顎骨壊死の予防で使用されていました。しかし、粒子線やIMRTなどの高精度放射線治療が発達するにつれて、急峻な線量勾配が可能となってきました。そのため、たった5~10mmのスペースを確保するだけで正常組織の障害を減らし、これに伴って腫瘍組織への処方線量の増加を、つまりは治癒率を向上させることができる可能性がでてきました。

このスペーサーとしての素材には、生体組織(大網など)と非生体組織(ゴアテックスシートなど)が用いられていますが、その新規素材の開発と適応の検討などを研究するのがこの研究会の趣旨です。幸運にもこの興味深い研究会からお声をかけていただき、第1回から参加することができました。大変重要な内容で、うまくいけば放射線治療成績飛躍のきっかけとなる可能性があると思っています。今後も参加しようと思う研究会でした。下の図は放医研の山田滋先生のご好意により拝借したもので、実際に重粒子線治療とスペーサー挿入によって治療された患者さんです。黄色矢印のような薄いスペーサーがあるだけで、かなり安全な治療が可能となりましたが、これは重粒子線治療の良好な線量分布のために可能ですが、もう少し厚くできるとIMRTでもうまくできそうな感じです。問題点として、挿入技術、挿入後の感染リスクなどが挙げられています。

 

第126回日本医学放射線学会 北日本地方会

助教 梅澤 玲

2012年06月29日~30日

この度、北日本地方会に参加しましたので、拙い文章ではありますが、報告させて頂きます。

今年の北日本地方会ですが、6月29-30日の間、札幌で開催されました。6月下旬の札幌で快適に過ごせるかと思いきや、想像以上に気温が高く夏バテしそうな天気でした。会場は北海道大学内でしたが、キャンパスの雰囲気がとても良く、自分の学生時代を懐かしみながら、休憩時間に思わず散策してしまいました。4年振りの札幌での開催という事あり、今回恥ずかしながら発表させて頂きました。

今回、当院での子宮頚癌術後断端陽性症例に対する放射線治療成績をまとめてみました。施設によって照射方法が異なると思いましたので、これを期に他施設の御意見も聞ければと思い発表させて頂きました。発表準備の際いつもですが、データの集積・解析するにあたり、自分の知識がいかに乏しいかを痛感させられます。今回の発表での先生方の意見を参考に、今後更なる検討を重ねていき、今後の治療に役立てていければと思います。

大学スタッフの方々、仙台総合放射線クリニックの小川先生には、御忙しい中スライドのチェックをして頂き、深く感謝しております。

1泊2日と非常に短期間しか滞在しませんでしたが、時間を見つけて寿司やスープカレーなどを平らげてきました。また機会があったら、是非札幌を満喫したいと思っています。


会場の様子

 

第31回札幌国際がんシンポジウム

東北大学大学院医学系研究科修士2年 勝田 義之

2012年07月23日~24日

第31回札幌国際がんシンポジウムが2012年7月23日から24日まで開催されました。国際学会にての発表は今年6月に中華人民共和国で行われたWCに引き続き2回目でしたが今回の会場は北海道大学であり、北海道に行くにはとても良い気候でした。

本学会は動体追跡放射線治療を開発された白土博樹先生が大会長をなさっており、北海道大学敷地内のフラテという会館にて行われました。北海道大学は全学部がひとつのキャンパスにあり、その広大な敷地の一角に北海道大学病院(図1)があります。大会ではX線・陽子線の新しい照射技術をテーマとした発表から放射線生物学、放射線計測学、腫瘍学をテーマとした発表まで幅広い内容の発表が行われていました。また、口頭発表後の討論も活発に行われており、20分近く討論されていたセッションもありました。ポスターセッション会場は口頭発表会場の出口すぐにあり、こちらも休憩時間の度に討論が行われていました。


図1 北海道大学病院

今回、私は、「Assessment of a commercially available automatic deformable image registration」と言うタイトルで発表しました。この研究は、画像変形(deformable image registration:DIR)を行い異なるCT画像の線量分布の合算などを行うことができる放射線治療計画支援ソフトウェアであるVelocityのそのDIRの精度を評価しました。今回の結果から、誤差は3mm以内であることが確認できました。この結果を臨床にフィードバックしていきたいと思います。

また、今回の発表が5名ほど選出されますPoster Award賞を受賞し、その初日の夜に大学敷地内にあるレストランにて開催されましたレセプションパーティーでその表彰を受けました(図2)。 医学物理学会やWCでは医学物理に関する研究を傍聴する機会がほとんどでしたが、今回、放射線治療は様々な分野によって成り立っており、発展に向け活発な研究がなされていることを改めて強く実感しました。そして、僭越ながら私も東北地方における医学物理の発展に貢献できるよう研究を行なっていきたいと考えております。


図2 ポスターと賞状

宿泊したホテルの近くに時計台(旧札幌農学校)があったので行ってみました(図3)。札幌農学校は北海道大学の前身であり、明治末期から大正初期にかけて東北帝国大学農科大学という名称だったそうです。


図3 時計台

最後に、東北大学病院放射線治療科のみなさま、このような発表の機会を与えてくださいまして深く感謝いたします。ありがとうございました。

 

第11回CSR 参加報告

教授 神宮 啓一

2012年07月06日

2012年7月日に勝山館にて毎年恒例のCSRが行われました。今回は当科が当番であったので、東北公済病院外科の先生方への顔見せを兼ねて小生が講演を行いました。演題名は「ここまで来た放射線治療」として、最新あるいは近未来的な放射線治療機器や粒子線治療を紹介し、従来の単純な放射線治療とどのように異なるかをお見せしました。またそれらを用いて当科としてどのような取り組みをしているかなども紹介いたしました。他科の先生も興味がもてるように動画を多数用いて治療機器の紹介をしました。動画の準備などにご協力いただいた業者の方々に御礼申し上げます。

外科の先生方からは鋭い指摘や質問をいただきました。東北公済病院からは看護師さんが、放射線科からは院外の先生方や物理士方が多数参加いただきました。厚く御礼申し上げます。講演後の情報交換会では多くの先生方と有意義なお話ができました。他院の外科先生方とのお話ができる貴重な場ですので、今後も継続していきたいものです。いつも開催に協賛いただいておりますコヴィディエン ジャパン(株)さん、ありがとうございます。

 

第27回日本肺癌学会ワークショップ

大学院生 山本 貴也

2012年07月14日

2012年7月14日に横浜にて行われた第27回日本肺癌学会ワークショップに参加して参りました。今回は非小細胞肺癌の治療-放射線治療の役割を検証する、という興味深いテーマで、そのためか参加者約200人のうち呼吸器内科医・呼吸器外科医・放射線治療医がほぼ1/3ずつだったそうです。

ワークショップの内容もLandmark studyから論文化前の臨床試験の話までとても勉強になりました。一人の演者の時間が約15分と駆け足で進んでいくので付いて行くのがやっとでしたが、興味深い話題が多く、特に切除不能Ⅲ期や切除可能N2非小細胞肺癌の治療に関しては討論も盛り上がりとても面白かったです。

仙台からの日帰りでしたので懇親会に参加出来なかったのは残念ですが、とても有意義なものとなりました。

 
会場の様子   お昼

 

WC2012参加報告

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻 放射線腫瘍学分野修士課程2年
小野里 侑祐

2012年05月26日~31日

今回、中華人民共和国北京市で開催されましたWC2012に、日本医学物理学会から研究成果報告奨励金を受けて参加させていただきました。その報告をさせて頂きます。

WC2012はWorld Congress 2012 Medical Physics and Biomedical Engineeringと呼ばれる医学物理と生体工学の国際学会です。現在は3年に1回開催され世界中から参加者が集まります。今回は5月26日から5月31日までの6日間、中国北京での開催でした。学会場はオリンピックの会場としても有名な鳥の巣の近くにあります、北京国際会議中心で行われました(図1)。


図1 学会場(北京国際会議中心)

初めてのWC2012に参加と言う事で、先生方の指導や支援のおかげでoral presentationで発表する機会をいただきました。今回は、私が東北大学大学院に入学してから指導していただいている医学物理士の角谷先生、藤田先生に、現在行っているCBCTに関する研究を国際学会で発表してみないかと言われ、WC2012へabstractを提出し参加することになりました。Abstractを提出する時は私自身国際学会での発表は未経験で、英語での口頭発表を自分に出来るのかとても不安でした。しかし、oral presentationのチャンスは滅多にないと思い、半年間英語の勉強を頑張りました。

私は、学会初日の夜、Welcome partyに参加しました。WC研究助成奨励金を受けたメンバーとの写真撮影をして、海外の医学物理士と意見交流を行いました。私はこのpartyに1人で参加しましたが、他大学はたくさんの学生が参加していて、研究に対するやる気を感じました。そして、次の日からは一日中発表を聞いていました。ASTROやESTROなどは教育セッションが非常に多いと聞いていましたが、WCは日本の学会に近く、口頭発表が大部分を占めていたと思います。多数の部屋でそれぞれのテーマごとに発表しているので、多岐にわたり発表が聞けるのは、とてもよいと思いました。 やはり、世界中で盛んに研究されている研究項目の一つである、適応放射線治療に関するDeformable image registration (DIR)の研究セッションは満員でした。私もDIRに関してとても興味があるので、日本に帰国してもっと勉強しようとモチベーションが上がりました。

私は、30日AM8:00からのセッション「Dose calculationⅡ」で発表させていただきました。発表演題は「Evaluation of dose calculation accuracy of modified CBCT using Multi -level-threshold algorithm」です。本研究は、CBCT画像で電子密度変換テーブルを作成しても、CBCT画像と計画用CT画像では散乱線やアーチファクトの影響が異なり、そのために線量計算誤差をもたらす可能性があります。この問題に取組むためにMulti-level-threshold algorithmという方法を用いて、形態情報はCBCTのままでCT値は計画用CTからのCT値を利用し、CBCTのCT値に起因する問題を考慮することなく簡易的に線量計算精度向上できる方法の検討について発表いたしました。

私が発表した「Dose calculationⅡ」はモンテカルロ法を用いた線量計算の発表が多く、質疑応答において他演者からモンテカルロ法を使用した方法などのアドバイスをいただきました。また、セッションが終了した後もCBCTの線量計算方法、今後の展開や方針について海外の医学物理士と意見交換をしました。本研究に対する興味を持たれた方がいたことに手ごたえを感じ、嬉しく思いました。セッション終了後に座長と記念写真を撮りました(図2)。


図2 座長と記念撮影

今回は、国際学会で初めてのoral presentationということで、自分にできるのかといろいろなプレッシャーがありましたが、非常に有意義な学会参加になりました。貴重な経験ができて本当に良かったと思います。

最後に、東北大学病院放射線治療科のみなさま、日本医学物理学会の関係者様、このような発表の機会を与えてくださいまして深く感謝いたします。ありがとうございました。

 

ESTRO 31 annual meeting

助教 角谷 倫之

2012年05月10日~13日

第31回ESTROが、スペインのバルセロナで5月10日から13日まで開催されました。ESTROの参加は初めてでしたが、ASTROに比べ少しこじんまりしていますがどの部屋も立ち見が出るほど参加者が多く活発な討論が行われていました。

今回、Poster発表に選出されPosterを貼るだけかなと思っていましたが、その後young Scientists Poster Sessionに選出され、6分間発表する事になりました。今回私は、「Evaluation of various deformable image registration algorithms using thoracic images」というタイトルで発表し、今後普及するであろう適応放射線治療(Adaptive Radiotherapy)には必要不可欠な技術である非剛体位置合わせ(deformable image registration)についての研究を発表しました。ヨーロッパでは精力的に研究されている分野ということもあり、質問も多数ありました。たじたじになりながらなんとか答えることが出来、非常に有益な意見を頂くことが出来ました。今回の研究内容を臨床でも利用できるようにさらなる研究を行なって行きたいと思います。

 
 
   

 

第5回NIRS被ばく医療セミナー参加記

大学院生 山本 貴也

2012年06月18日~20日

2012年6月18日~20日に千葉県にある放射線医学総合研究所にて行われた第5回NIRS被ばく医療セミナーに参加して参りました。参加者は医師だけでなく看護師、放射線技師、合わせて40名以上が全国各地から来ていました。

セミナー内容は座学にて放射線の基礎から病院での初期対応等学び、更にグループに分かれての机上演習、実習では汚染患者への対応を行いました。特に実習では聞くのとやるのは大違いで、悪戦苦闘しながら汗だくで行いました。あいにくの台風でなかなか他の所に行けなかったのが残念ですが、先生方にも懇切丁寧に教えて頂き、非常に充実した3日間となったと思います。このセミナーで得たことを、使う機会が訪れないことが一番ですが、万が一に備えて役立てたいと思います。

 
防護服を来たマネキンと共に   実習-汚染模擬患者(マネキン)への対応の様子
 
線源を用いた実習   HIMAC見学

 

第15回 東北内分泌画像研究会参加録

教授 神宮 啓一

2012年06月16日

2012年6月16日に行われました東北内分泌画像研究会にて教育講演を行ってきました。この会は主に内分泌内科や病理、放射線診断医の先生方の研究会ですが、今回は小生に教育講演の依頼がありました。

放射線治療で内分泌系の腫瘍といっても、なかなか遭遇することがなく、講演内容に悩みました。結局、少し関連のある「前立腺癌の非侵襲的治療法と診断」について講演しました。中高年の男性であれば気になる話題ではないかと考え、最新の放射線治療について動画などを交えながら、なるべく癌治療に携わってない先生方にも興味を持ってもらえるようスライドを準備しました。

約1時間の講演の後、いくつか質問をいただき、その質問のするどさにタジタジとなってしまいました。質疑応答の最後に、放射線治療医が不足している中で、治療機器の飛躍的な発展に伴って、使用経験のない放射線治療医が見よう見まねで治療することにより将来的に起こりうる問題を危惧していることを述べて終了といたしました。

この場にて、お招きいただきました代表世話人の東北大学大学院医学系研究科 画像診断技術学分野 石橋忠司教授に御礼を申し上げます。


質疑応答の風景

 

第36回日本頭頸部癌学会参加録

教授 神宮 啓一

2012年06月07日~08日

2012年6月7-8日に島根県民会館にて行われた日本頭頸部癌学会に参加してきました。放射線治療関係のセッションも比較的大きな会場であり、某放射線学会での治療に関する会場とは大違いで感銘を受けました。しかし、自分のセッションは学会最終の時間に行われたため聴衆もまばらでさびしい感じでした。当科での上咽頭に対するIMRTの治療成績やROIの設定方法の検討を行い、報告をいたしました。質問も多くいただきました。

山陰地方での学会はなかなかないため、時間をみつけて水木しげるロードや出雲大社に行ってきました。出雲大社では残念ながら平成の大遷宮が行われており本殿は屋根しか見えませんでした。おみくじでは「日々その業を勤め、神の恩恵と祖先の御恩を知り感謝するものは、必ず富貴たる事を得る。」との訓でした。お告げの通りがんばっていきます。

 
水木しげるロード   出雲大社の御仮殿