東北大学病院 放射線治療科

研究活動について

学会参加録 2011年

医学生、研修医のための放射線腫瘍学腫瘍学秋季セミナー 参加録

大学院生 石川 陽二郎

2011年11月26日

2011年11月26日に山形県天童市で開催された北東北がんプロフェッショナル養成プランと東北がんプロフェッショナル養成プラン共催の「医学生、研修医のための放射線腫瘍学腫瘍学秋季セミナー 」にチューターとして参加しました。同セミナーは医学生、研修医を対象として実際の症例の治療計画を行うことをメインとした実習型のセミナーでした。実習生1-2名が一台の実際の治療計画装置を使い計画を立て、各大学から派遣されたチューターがサポートしながら計画を行うというものです。

今回の症例のテーマは「転移性脳腫瘍」でした。肺癌の脳転移に関して患者背景、原発巣の進行度、組織型などが異なる5つの症例に対して全脳照射を行うか定位照射を行うかの選択、もしくは併用治療をするかなどを議論しながら計画を行いました。最後は各グループで症例に関するプレゼンテーションを行いましたが議論も白熱してとても勉強になりました。

また、毎年恒例の懇親会ではおいしい料理とお酒を堪能し非常に有意義なセミナーでした。


図1:放射線治療計画についてのチュートリアル

 

第10回CSR (The Joint Conference of Surgery and Radiology) 晩翠通 参加録

講師 神宮 啓一

2011年11月25日

2011年11月25日に仙台勝山館にて第10回CSR (The Joint Conference of Surgery and Radiology) 晩翠通が開催されました。この会は東北公済病院外科と東北大学病院放射線科(主に放射線治療医)による研究会です。毎回、交互に話題提供を行い、放射線治療医、外科医のそれぞれの立場から話し合う機会です。今回は、東北公済病院外科部長の実方一典先生より「食道癌術後再建胃管癌」と題して、特別講演を行っていただきました。座長は当科 松下晴雄先生でした。食道癌手術にて胃管再建を行った後、胃管内に新たな悪性腫瘍が約5%に発生していたことが報告され、食道癌の術後経過観察中の胃管内の定期的な検診が必要であることを改めて認識させられました。これまで食道癌術後再発に関連した論文を複数書いている小生には大変勉強となる講演でした。

この会も今回で第10回となりましたが、外科医の先生の欲するところなどを知るとてもよい機会です。新たな研究テーマなどを得られることもあり、ぜひ続けていければと思います。

 

日本放射線腫瘍学会第24回学術大会 参加録

大学院生 山本 貴也

2011年11月17日~19日

2011年11月17日~19日にかけて神戸(神戸ポートピアホテル)にて日本放射線腫瘍学会(JASTRO)第24回学術大会が開かれました。JASTROの年一度の全国学会です。そこで示説発表(ポスター)を行なって参りました。

 発表内容は「東日本大震災における放射線治療科の活動報告」で一度地方会にてまとめておりましたが、ポスター作成は初めてで、作成の仕方やフォント、レイアウト様々に神宮先生を始めとする諸先生方にアドバイスを頂いてなんとか完成しました。ポスターを入れる筒も意外に大きく、持ち運ぶのも苦労しました。神戸へは仙台空港からの直通はありませんので、伊丹空港を経由しての移動です。何とか会場に到着し、無事ポスターも貼ることが出来ました。示説発表も4分という短い時間でしたが、当科で震災時に行った福島原発に関連する汚染のサーベイ、除染、宮城県庁での電話相談、放射線治療の再開まで等々について発表して参りました(図1)。更に喜ばしいことに優秀ポスターにも選出されました。これもひとえに震災時、当科スタッフ、保健学科教員、放射線技師の皆さんが一丸となって奮闘したからだと思っております。この場を借りて御礼申し上げます。

その他にも学会では様々な発表に刺激を受け、夜は神戸牛や解禁したばかりのボジョレーヌーボーに舌鼓を打ち、とても充実したものになりました。次回は更に良い演題を出せるように頑張っていきたいと思います。

 

第7回泌尿器腫瘍放射線研究会 参加録

大学院生 石川 陽二郎

2011年10月29日

2011年10月29日に名古屋国際会議場で癌治療学会学術集会が行われ、同会場で開催された第7回泌尿器腫瘍放射線研究会に参加してきましたのでご報告いたします。

同研究会は前立腺癌を中心とした泌尿器腫瘍における放射線科医と泌尿器科医の情報交換の場として発足した会で、今回のテーマは「泌尿器腫瘍に対する近未来の放射線療法/画像診断」でした。「近未来」という難しいテーマではありましたが、放射線診断のセッションでは3テスラMRIの検出精度に関して活発な討議がなされておりました。また、治療のセッションでは前立腺癌に対するIMRT の初期治療成績や合併症の程度に関して複数の施設で報告がなされていました。今回、私が発表した演題は前立腺癌に対して放射線治療を行う場合に問題となる晩期障害(特に放射線直腸炎)に関する検討の報告でした。発表時間が5分と短めでしたが当院の過去5年(2004~2009年)の晩期障害の発生状況と原因の解析、今後の方針等を報告して参りました。

名古屋は仙台から新幹線で約4時間程度かかりますが、当日朝出発し発表終了後はすぐに帰仙という強行スケジュールで行ってきました(図1)。名古屋を見物できなかったのは残念ですが、美味しいひつまぶしをいただきました(図2)。

 
図1:会場で写真を取り
忘れたので、新幹線のぞみの中で撮影
  図2:名古屋駅地下のお店で
「ひつまぶし」を食べてきました。

 

第125回日本医学放射線学会 北日本地方会 参加録

大学院1年生 古積 麻衣子

2011年10月14日~15日

このたび、2011年10月14日~15日に東北大学医学部艮陵会館で、第125回日本医学放射線学会 北日本地方会、第70回日本核医学会 北日本地方会が行われました。

北海道・東北地方を中心に、各地から多数の参加者がありました。診断、核、治療の各分野より計54の一般演題と19のデビューセッションの口演が行われ、艮陵会館内の2会場で活発な討論が繰り広げられました。

デビューセッションは、放射線科医としての初めての学会発表の場であるため、「内容が専門的すぎず、わかりやすくて勉強になる」と好評でした。診断・治療の専門に関わらず多数の参加者が集まり、温かく和やかな雰囲気の中、行われました。

今年放射線治療科に入局した私は、治療デビューセッションで発表しました(下写真)。「二次発がんを生じた後に不幸な経過をたどった若年性上咽頭癌の一例」と題して、当科で経験した症例を呈示しました。原発および転移・再発巣は化学放射線療法により10年以上完全寛解を維持したものの、晩期有害事象や二次発がんに至った症例です。この症例を基に、若年者における放射線治療の問題点について考察し、治療戦略について検討しました。経過の長い症例であり、発表の準備に苦労しましたが、当科講師の松下先生、神宮先生の親身なご指導のお陰で発表にこぎ着けることができました。

会場では、同じく学会デビューを果たした医学部生時代の同級生が数名、他施設から参加しており、私も頑張らなくてはという気持ちになりました。

ランチョンセミナーでは、「放射線科の楽しみ方、読影と想像について」と題して日本医科大学武蔵小杉病院放射線科の一色彩子先生にご講演いただきました。日常の風景を画像診断医の視点から捉えた一色先生の口演に、感銘を受けずにはいられませんでした。

特別講演では、「放射線治療の進歩と問題点」について、当科名誉教授の山田章吾先生よりご講演がありました。放射線治療医のみならず、診断や核を専門とする先生方も多数出席され、盛況のうちに会を終えました。

 

ASTRO (アメリカ放射線腫瘍学会)53rd annual meeting参加録

講師 神宮 啓一

2011年10月02日~06日

今回、2011年10月2日~6日にフロリダ州のマイアミにて行われましたASTRO (アメリカ放射線腫瘍学会)53rd annual meetingに参加してきました。
今年からは抄録を提出するのにも、なんと60ドルもとるという暴挙があり、提出を悩みましたが、今年も参加することとしました。
シカゴ空港乗換でマイアミに入ったのですが、シカゴ空港の入国審査官たちのやる気のなさによりかなり入国に時間が掛かり、乗継を心配しましたが、私はなんとか間に合いました。しかし、あとからの便で来られた他の大学の先生方にはやはり入国に3時間も掛かって、結局乗継に間に合わず、シカゴに一泊したという方々もおられました。他にも学会場のコーヒーショップで、カフェラテを頼んでカフェモカが出てきたりと、相変わらずかなり適当な仕事振りをみると、どうして医学を含めいろんな分野で日本が勝てないのだろうと考えてしまいました。

ホテルに着いたあと、参加登録を済ませに学会場に出かけました。ホテルの前からシャトルバスがでていましたので、簡単に着きました。相変わらず巨大な会場を使用しておりました(図1)。参加登録場所に行って、いかにも慣れていないバイトと思われるスタッフに事前登録表を見せたところ、アタフタし始め、なかなかネームカードがもらえません。挙句には1000ドル払えと言ってきたので、「事前に900ドル払ったよ」と伝えましたが、要領を得ません。結局バイトでない責任者みたいな人が出てきて、参加登録はできたのですが、最後に125ドル払えと言われました。同様に「事前に900ドル払ったよ」といいましたが、それとは別にとのことでした。不審に思いましたが、それ以上の文句も英語で言えずクレジットカードでお支払。いまだになんの125ドルか不明です。

翌日から実際の大会がスタートとなりました。このASTRO annual meetingは朝7時半からの教育講演が恒例で、今年も毎日行われており、こちらをいくつか拝聴してきました。
3日目夕方にはポスターセッションが行われ、ここで自分の発表となりました(図2)。ポスター前に立っておりましたが、質問されるのは日本人だけで、英語での質疑応答はありませんでした。きっと外国人には私の「話しかけてくるなオーラ」が見えたのでしょう。ですが、今回ARRO Poster Walk with Professorに選ばれていたため、事前に用意したハンドアウト資料はすべてなくなっていました。某大学の医局からはなんと13名も参加があったそうで、会場で教授回診のようにしていました。その他、日本人で(確か順天堂大学の先生)レジデント賞を取られた先生もいました。なんとすばらしいことでしょう。我々も見習いたいですね。

今回、抄録を投稿したときは、学会期間中にプロバスケットボールチーム、マイアミヒートの試合があるのではと期待していましたが、選手会と経営側との対立で?まだ今シーズンは開催されていませんでした。残念でした。特に一人でビーチに行く気にもなれず真面目に学会場(とその周辺)にだけいました。学会場で聞く演者の英語は結構聞き取れるのに、お店やホテルの人の話す英語はなかなか理解できませんでした。毎週末の駅前留学の成果は今年も見られませんでした。
帰りのマイアミ-ロサンゼルスの飛行機が1時間以上遅延したため、乗り換え時間が40分しかなかったため、ロサンゼルス空港内を真剣にダッシュしました。乗り遅れたらホテルの手配など面倒です。いつもですが、海外の一人旅は心細いです。いつの日かどこでも堂々と行けるようになりたいです。

来年はボストンで開催とのことでした。ぜひ参加したいと思っていますが、ESTROはバルセロナ、American Radium Societyはラスベガス・・・。迷いますね。

最後に、大学スタッフ・大学院生のみなさんへ。通常でも忙しいのに留守にしましてご迷惑をお掛けしました。皆さんの研究などに少しでも役立つようにしますのでご勘弁ください。

 
図1:機器展示場   図2:ポスター会場
自分のポスターの前で

 

第65回 食道学会学術集会 参加録

講師 神宮 啓一

2011年09月26日

このたび、2011年9月26日に仙台国際センターにて、当科主幹により第65回食道学会学術集会を行いました。東日本大震災の影響にて当初6月の開催予定であったのが、今回まで延期となっておりましたが、無事開催できました。震災直後は中止と一旦発表されましたが、規模を縮小しての1日のみの開催となりましたが、執り行うことができました。スタッフ一同御礼申し上げます。
参加人数が伸びないのではないかと心配を余所に、例年よりは当然少ないものの予定参加人数を超える参加者でした。ありがとうございました。

小生はシンポジウム 「stage I 食道癌の治療戦略」の演者に採択され、錚々たる面々の中での発表であったため、またいつもは放射線治療医だけの中、外科医・腫瘍内科医の前ということもあり、少し緊張をいたしました。シンポジウム中のみならず、その後もフロアで色々な質問をいただきましてありがとうございました。発表内容は、当科で行ってまいりました食道癌に対するCDGP+5-FUを同時併用した放射線治療患者のうち、T1aを除くstage I食道癌のうち、医学的な理由により手術不可能と診断され、放射線治療を受けた患者さんの治療成績をまとめ、手術可能と診断された患者さんの放射線化学療法(こちらはCDDP+5-FU併用)の治療成績と比較しました。
震災前のプログラムでは、更にもう一つのシンポジウム「食道疾患に対して放射線科医が寄与できること」も担当していましたが、紙上発表という形となったので、内心ほっとしております。ついでで恐縮ですが、抄録集の中で、このシンポジウムの発表者と抄録がひとつずつずれておりますことをお詫び申し上げます。できあがった抄録集を見て、「あれっ?こんな立派な内容書いたかな?でも与えられた内容と関係ないこと書いちゃった」とびっくりしてしまいました。

学会開催にあたり多大なる苦労をかけました菅原由紀女史、大学病院の留守番をひとりに押し付けてしまった清水先生、お手伝いいただいた他科の先生方、スタッフの皆様への謝辞をもちまして、この参加録を締めたいと思います。誠にありがとうございました。

大会長 山田章吾先生のご挨拶は本HPトップにリンクを張っておりますので、そちらもご覧ください。

 
図1:第一会場   図2:大会長記念講演

多数の出席者がありました。

 

山田章吾先生から食道癌に対する放射線治療の歴史と今後について講演がありました。